カギは個人消費…2016年大予測~経済編
ニッセイ基礎研究所 経済調査室長 斎藤太郎
2015年12月28日 05時20分
2016年の日本経済は、「個人消費」と「設備投資」が景気回復のカギに――。個人消費は、これまで家計を圧が一段落し、雇用も増えていることから改善傾向にある。個人消費が改善すれば、企業の売り上げが上がり、設備投資に回る資金も増える。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査室長に詳しく分析してもらった。
景気回復の主役は個人消費と設備投資
個人消費が景気回復の主役に(東京都豊島区の西武池袋本店で。2015年8月21日撮影)
2016年の日本経済は民間需要の柱である個人消費、設備投資が景気回復の主役になりそうだ。かつて、日本の景気回復は好調な海外経済を背景とした輸出の増加や大型経済対策による公共事業の押し上げによってもたらされるパターンがほとんどだった。しかし、今回は両者ともに大きな期待ができない状況にある。
アベノミクス始動後、大幅な円安にもかかわらず輸出は伸び悩みが続いている。海外経済の減速という循環的な要因に加え、国際競争力の低下や生産拠点の海外シフトといった構造要因が輸出の下押し要因になっているためだ。企業は海外生産シフトを進める一方で国内の生産能力を落としており、円安や海外経済の回復によって輸出環境が改善しても、国内生産の拡大によって輸出を伸ばすことが難しくなっている。輸出の回復ペースは今後も緩やかにとどまる可能性が高い。
また、2014年度補正予算の効果一巡から息切れし始めた公共事業は、先行きも減少傾向が続くことが予想される。2015年度補正予算の公共事業追加が限定的なことに加え、2016年度当初予算案の公共事業費が前年並みにとどまっているためだ。
さえない個人消費…原因は実質賃金の低下
個人消費は2014年4月の消費税率引き上げによって急速に落ち込んだ後、一進一退の動きにとどまっている。直近(2015年7-9月期)の個人消費の水準は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が本格化する直前の2013年10-12月期を2%以上下回っている(図表1)。
個人消費低迷の主因は実質賃金が大きく落ち込んだことだ。好調な企業収益や政府の賃上げ要請を受けて、名目(金額)ベースの賃金は2014年度に入り増加し始めたが、消費税率引き上げで物価上昇率が急速に高まったため、名目賃金から物価上昇分を割り引いた実質賃金は大きく減少してしまった(図表2)。このため、駆け込み需要の反動がなくなった後も個人消費はさえない動きが続いている。jav uncensored big tits
2016年は個人消費が改善する
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しかし、個人消費を取り巻く環境は徐々に改善している。消費税率引き上げの影響が一巡したことや、原油価格の大幅下落によってガソリン代、電気代などが大きく下がったことから、上昇が続いていた消費者物価(生鮮食品を除く総合)は2015年8月に2年4か月ぶりに下落に転じた。食品などの値上げは続いているものの、これまで家計が苦しんできた物価高による実質賃金の押し下げ圧力は大きく緩和されている。
また、2015年夏のボーナスは期待外れに終わったが、2年連続のベースアップを反映し、賃金総額の約4分の3を占める所定内給与(基本給)は着実に増加している。名目賃金の上昇と物価上昇率の低下によって実質賃金は2015年7月から上昇を続けている。さらに、少子高齢化を背景とした人手不足感の高まりから企業の採用意欲は非常に強く、雇用者数も増加している。
実質雇用者所得(一人当たり実質賃金×雇用者数)は2013年7-9月期に減少に転じた後、物価上昇率が大きく高まった2014年度には減少幅が大きく拡大したが、所定内給与を中心とした名目賃金の上昇と物価上昇率の低下から、2015年7-9月期には9四半期ぶりにプラスに転じた(図表3)。原油価格は2015年末にかけてさらに大きく下落したため、物価上昇による実質所得の目減りは当分、心配する必要がない。2016年の個人消費は実質雇用者所得の増加に支えられて回復基調が続く可能性が高いだろう。
設備投資も回復へ
出遅れが目立っていた設備投資は、ようやく持ち直しの動きがはっきりしてきた。法人企業統計の設備投資は2015年4-6月の前年比5.6%から、7-9月期には同11.2%へと伸びを高めた(図表4)。また、日銀短観12月調査では2015年度の設備投資計画が前年度比7.8%(全規模・全産業)となり、12月調査時点としては過去5年間で最も高い伸びとなった。
企業収益が過去最高を更新していることを考えれば、設備投資の回復は依然として力強さに欠けている。しかし、個人消費の回復によって売上の伸びが高まれば、企業の投資意欲が回復し、潤沢なキャッシュフローを設備投資に振り向ける動きが徐々に顕在化するだろう。
2016年は輸出、公共事業による押し上げが期待できない中、個人消費、設備投資などの国内民間需要が経済成長の中心となろう。実質GDP成長率は1.1%と2015年の0.6%(ニッセイ基礎研究所による見込み)から伸びを高めると予想する。
注目される春闘の行方…個人消費の低迷を招くおそれも
2016年春闘の賃上げ率は?(写真は2015年の様子)
先行きの個人消費を大きく左右するのは、2016年春闘の賃上げ率だ。失業率が約20年ぶりの低水準まで改善するなど労働需給面からの賃金上昇圧力は引き続き強く、円安、原油安の追い風もあって企業収益は好調を維持している。賃上げを継続するための経済の好環境は継続していると考えられる。一方、中国をはじめとした新興国経済の減速懸念、足元の物価上昇率の低下など賃上げを抑制する要因も見られる。
ニッセイ基礎研究所では、2016年度の春闘賃上げ率は2.60%と2015年度の2.38%を上回ることを想定しており、雇用所得環境のさらなる改善が個人消費の回復を後押しすることを見込んでいる。ただし、連合は2016年春闘の基本方針で、賃上げ要求水準を「2%程度を基準(定期昇給分を除く)」としており、2015年要求の「2%以上」からやや後退している。実際の賃上げ率が2015年度を下回り、原油価格の持ち直しなどから物価上昇率が高まるようなことがあれば、再び実質所得が低下し、個人消費の低迷が長引く恐れがある。2016年の景気動向を占う上でも春闘の行方が注目される。
プロフィル
斎藤太郎(さいとう・たろう)
1992年京都大学教育学部卒、日本生命保険相互会社入社。1996年からニッセイ基礎研究所、2012年から現職。日本経済研究センターが実施している「ESPフォーキャスト調査」では過去5回、予測的中率の高い優秀フォーキャスターに選ばれた。主な著書に『図解 20年後の日本 -暮らしはどうなる? 社会はどうなる?-』(共著、ニッセイ基礎研究所編、2009年、日本経済新聞出版社)がある。
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